ヨーロッパ女一人旅をする30代。ネルハにやってきました。
ネルハとは、スペイン南部の温暖な街。
アフリカは目と鼻の先。
私がここへ来た目的は、世界で最も美しい村に選ばれたこともあるホワイトビレッジ フリヒリアナ
まず、ここへ行くには、ふもとの町 ネルハを通過します。
ネルハに宿を取り、フリヒリアナまではバスでお出かけ。
この辺りから旅の疲れが出だしたのか、何と宿泊日を一ヶ月間違えて予約してしまうという凡ミス。
ネルハに到着するも、予約客は全て到着しているため、宿主は帰宅。夜9時の何もない町で茫然と立ち尽くす私。
近所の人に助けを求めるとホテルのオーナーに電話を掛けてくれました。
オーナーが戻って来てくれ、さらに、元々予約してあった来月のオフシーズン料金でいいよと言ってくれました。
実はこの日、ちょうどキャンセルが出ていたようで、「運がいいね!」と言われました。
ここでは二泊し、朝からバルセロナ行きの長距離バスに乗る予定でした。
ところが、
バスの始発は私の泊まっているネルハではなく、もっと大きなマラガという街でした。出発前日の夜になって気付いてしまった私は、翌朝の8時までにでマラガに向かわなければなりません。
しかし、翌日は日曜。朝6時の始発便が出ないと時刻表に明記されていました・・・・・始発便で間に合うかそうかという距離なのに・・・・・・終わった。
マラガからバルセロナまでのバス代は50ユーロ。節約を重ねる貧乏パッカーの私には痛すぎる出費。
何とかキャンセルをしようとバス会社のHPにアクセス。しかし何度やっても「キャンセルは完了していません。〇〇 (代理店) のサイトからキャンセル処理をしてください」と表示されるばかり。
〇〇のサイトからキャンセル処理を試みるも今度は
「GOEURO (Skyscannerのようなヨーロッパ版比較サイト) からキャンセル処理を~」
GOEUROのサイトからキャンセルしようとすると今度は
「バス会社のサイトから~」
これは・・・・っ
典型的なたらい回し
それでも50ユーロを失いたくない私はこのループを2回繰り返し、そして
諦めました。
ネルハからマラガまでは徒歩10時間。ギリギリバスターミナルに着けそう!と一瞬思いましたが、それは無理。
夜通し10時間も歩くくらいなら50ユーロ捨てる方がマシ。
でもなんとかならないかと悩む私が、ひとつの方法に行き付くまでに、時間はかかりませんでした。
ヒッチハイクだ。もはやそれしかない。
この瞬間、最強ヒッチハイカーの誕生です。
とりあえず荷造りを済ませ、鍵はフロントに置いておいてくれとのオーナーさんの指示に従い、カウンターの中に返却。
ついでにマジックを拝借。コピー用紙を1枚もらい、紙いっぱいにMalagaと書きました。
吉と出るか、凶と出るか、とにかくできるだけ早くマラガへ向けて出発です。
外に出る。真っ暗です。
元々すごく小さな町で観光客がそれほど多いわけでもない。
ナイトクラブやバーすら無い田舎町。時刻は午前3時。街灯もほとんどなく、人っこひとり、車のライト一筋見えません。
それでも、交差点まで歩けば車が通るかもしれないと、マラガ方面へ歩を進めます。
2分ほど歩いたでしょうか。背後から車の音が聞こえてきます。
私はすかさず街灯の下へと走り、A5サイズの小さな紙を思いっきり突き出しながら祈るような思いで、ドライバーの 見えない顔を見つめていました。
おもむろにスピードをゆるめて紙に書いてある文字を凝視する男性。なんと止まってくれました。駆け寄る私。
窓を開けた男性は、「コンニチワ~」と笑顔。一気に緊張が解け、私もコンニチワと返しました。彼には日本人のお友達がいるのだそう。
彼は、飲み会の帰りで、ネルハとマラガのちょうど中間地点に住んでいるとのこと。こちら方面に来ることはめったにないのだとか。おおおぉ、ミラクル!
中間まででも良ければという彼の車に二つ返事で乗り込みました。
その後意気投合。
結局、お住まいを超えて、私の目的地であるマラガまで連れて行ってくれると言ってくれたこの男性。元はマラガに住んでいたのだそうです。
私がGooglemapでバスターミナルの場所を表示するも、「いや・・・・そこは違う・・・・」とつぶやくが早いか脇道に入り、猛スピードでハンドルを切ります。
どこ行くんだと不安になるのも束の間、私はネルハへ向かう途中に見たバスターミナルの前にいました。
間に合ったのです。
私の人生初のヒッチハイクは、スペインの田舎で大成功に終わりました。
もし、バスターミナルの場所が違うことに気付くのがあと少し遅かったら
もし、彼が昔の知り合いに誘われて、ネルハ方面に飲みにいってなければ
もし私が宿を出るのがあと3分遅かったら
もし彼が親切にも遠回りして送ってくれなければ
もし彼がバスターミナルの正確な場所を知らない、別の町の住人だったら
間に合わなかったかもしれない。
送ってくれたアントニオさんありがとう、本当に。
この大成功があったから、その後の3年間、ヒッチハイクを続けています。
ヒッチハイクでなければ知り合うことなんて無かったであろう人達との出会いが、自分の中でとても得難い思い出になっています。
一人旅をより、エキサイティングにする移動方法のひとつとして、チャレンジしてはいかがですか?