年末年始の佐世保リゾバを終え、歯の治療に専念していましたが、思いがけず日数を要する事態となってしまい、2月に入っても次のリゾバ赴任日決定まで先が見えない状況でした。
それでも、楽しそうで、勤務環境が良くて、それでいて短期間という条件は譲れなかった。
北海道はどうだろう。
最も寒い時期に、あえて日本で最も寒い場所に行ってみるのもいいな。。。
そんなことを考えていたら、ありました。
北海道旭岳!
気温-15℃を下回る極寒の観光地。
求人を出していたのはアイスバー (氷でできたショットバー) があるという、このエリアでは一番料金の高いホテル。
昼・夕食が無料支給、おまけに寮は客室という、夢のような好条件。
その分時給はやや低めですが、より良い住環境を重視し、申し込みました。
ちょうど札幌雪まつりの時期だったので、少しだけ日程をずらしてもらい、前夜祭を見物してから現場へ向かうことにしました。
前夜祭なので、テレビ関係者向けのデモンストレーションが行われていました。人が少なくて見やすかったです。
オーストラリアチームはまだ制作途中。こんなのも前日にしか見られません。見なくてもいいか。
時計台。感動はなく。
札幌は道路の雪が解けかけて泥と混じってべちゃべちゃで汚い感じになっていました。
地元の人は、「今年はあったかい」と言っていました。
寒がりの私にとってはひどい寒さでしたが。
南国ばかりを旅していたので、冬服らしい冬服を持っていなかった私は、母親にもらった極薄のダウンジャケット的な丈の短い上着と巻きスカート、手袋に自前のヒートテックを合わせたのみの恰好でした。
地元の人たちはファーのついたフードをすっぽりかぶっていて、見るからに暖かそうだったな。
宿をとっていなかった私は、雪まつり会場から歩いて20分少々のガストで早朝まで過ごしました。
翌朝6時頃、旭川行きのバスに乗り、そこから旭岳に向かうバス「いで湯号」に乗ります。
札幌から旭川までは、JRを使うと早く着くのですが、支給される交通費の上限が3万円なので、節約してバスで向かいました。
旭川の雪は高く積もっており、道路も真っ白でした。
とにかく寒くて寒くて、駅の構内に駆け込みました。
インフォメーションで旭岳行きのバスの乗り場を尋ねます。
ローソン店内の自販機で購入できます。乗り場はローソンの出入口のすぐ近く。
旭川駅から市内各所へのバスが出ているので、乗り場もたくさん。旭岳行きは9番乗り場。
旭山動物園行きのバスも出ていて、そこだけ長蛇の列でした。一回では全員乗り切れなさそうな人数でした。
バスがやって来たので、足早に乗り込み、出発を待ちます。
途中、外国人が富良野に行くバスはこれかと尋ねてきて、運転手さんが困っていたので、通訳してあげると、100円くらい割り引くよと言われました。
すでに切符を購入していたので辞退しましたが、その後も数回通訳することになり、降車時には何度もお礼を言われました。
そして到着。
派遣会社から教えられた降り場とは違いましたが、運転手さんの言葉を信じ、ひとつ手前の停留所で降車。50mほど戻ったところにホテルがありました。
ロビーでしばらく待ち、その後私が寮としてお借りすることになる部屋まで案内されました。
部屋はこんな感じです。
山小屋風の部屋。客室として使われているだけあって、とてもおしゃれできれいです。
ベッドメイキングやアメニティのセットもされていて、ゲストを向かい入れる状態に整えられています。
コーヒーミルや豆なんかもあったりして。
自分で挽いてハンドドリップで入れられます。
下にある暖炉は電気式なので、薪をくべることはありません。
こちらを使うまでもなく、パネルヒーターがいい働きをしているので、窓の外が-15℃だろうと寒さを感じることはありません。
大雪山を照らす朝焼け。圧巻です。
本当は外に出て撮影したかったのですが、寒すぎて断念。窓越しなので自分が少し映り込んでいます。
夕焼けもため息が出るほど美しいです。
通りがかったお客さんに教えてあげたらとても喜んでくれました。
休みの日はカフェに行ったりします。
東川町は役場主導の町おこしの成功例として知られる街。
おしゃれなお店がたくさん並んでいます。
ちなみに私が働いていたホテルは、札幌発着のシャトルバスがこの時期毎日運行しており、空席があればスタッフも乗せてもらえます。
ホテル~東川道の駅~旭川駅~札幌の停車場所どこでも乗降りできます (前日までの予約が必要。時期によって毎日運行しない場合もあります) 。
この日は道の駅で降ろしてもらい、周辺のカフェやパン屋さんを散策しました。
手彫りの看板が印象的です。
個性的な看板がこの通りにずらーっと並んでいます。
この写真のほかにもたくさん素敵なのがありました。ぜひ一度訪れてみてください。
手打ちパスタがとっても美味しい郊外のカフェ。
隣接するショップも、つい手に取りたくなる食器や文具などが揃っていました。
山小屋風の外観に、それを囲む白樺、薪がくべられている暖炉などが ザ・雪国!という感じで気分を盛り上げます。
念願だった旭山動物園にも行きました。
やはり、バス停の長蛇の列を見た後だったのと、勤務地からバスを乗り継ぐのは時間的に余裕がなかった (旭川~旭岳の最終バスは午後4時頃) ので、車を持っている社員さんを誘って一緒に行くことにしました。
レッサーパンダはやっぱり大人気。
テレビで見るよりずっとかわいくて、みんな驚くほど。
ペンギンウォークも見られます。ルートに沿ってペンギンたちがお散歩します。
みんなカメラを構えて待っています。
動かない子は飼育員さんに突っつかれてました。
何といっても最大のアクティビティは旭岳登山!と言ってもロープウェイで10分ほど。
歩いて上がろうとしたのですが、インフォメーションセンターでロープウェイを勧められました。
この時点で午後だったし、山の天気は変わりやすいから、晴天の内に登頂しておいた方がいいとの言葉に従いました。
ロープウェイを降りて広がる景色は、目がくらむような銀世界!
サングラスを借りておいてよかった!絶対に必要です。
無いと確実に目を傷めます。
噴煙を見に行きます。ホテルから無料で借りたスノーシューで噴煙口まで歩きます。
かなり遠く見えますが、10分くらいで到着します。
すごい勢いで蒸気が噴出しています。
落ちたら即死ですが、できるだけ近くで見たかったので、頑張って近付きました。
旭川から来たという人に写真を撮ってもらい、途中までおしゃべりしながら歩きました。
帰りはスノーシューを履いたまま歩いて下山します。
ものすごい急斜面です。
とてもスノーシューでは歩けません。
しかし戻ることもできないので、母にもらったナイロン地の巻きスカートをお尻の下に敷いて滑り降りました。
死ぬかと思いましたが無事でした。
ここは上級者向けのコースのようで、上手に滑り降りていくスノーボーダーを遠くに眺めることができました (私が入っていった場所には誰も来なかった) 。
とにかく絶景です。
ほんのり赤みがかってきた空がたまらなくきれいに見えました。
しかし、下山までどれくらい時間がかかるか分からなかったので、少し急がなければなりませんでした。
もちろん、足元には十分注意して。
思わぬ大穴にはまってしまったら遭難しかありません。ひとりなので。
とか言いながらきつねの足跡 (らしきもの) に目を奪われたり。
氷柱を割る音がきれいで何度も立ち止まってストックで割ったり。
たっぷり時間をかけて下山できたのも、インフォメーションセンターの人のアドバイスのおかげ。
遭難しなくてよかった。
真昼に麓から見る旭岳。雲ひとつない青空とのコントラストがたまりません。
氷点下15℃の世界では、こんなものも見ることができます。
分かりますか?降った雪が、結晶の形を留めたまま服の上に残っています。
結晶なんて、理科の教科書でしか見たことなかった。
周りに人がいるのも気づかず自分の両腕だけをじーーーっと10分くらい見ていたら、よく日帰り入浴を利用してくれるノリのいいフィンランド人グループに「 (雪下ろしのブラシで) 払ってあげようか?」と言われてしまいました。笑
また別の休日。
旭川市内では、氷像祭りが行われていました。
こんなに浮かれてたくさん写真を撮っている私ですが、この日はお財布を忘れてしまったことに行きのバスの中で気付き、バスの運転手さんにお借りした2000円というギリギリの予算でやりくりしなければならなかったのです。
(バス会社は、毎日ホテルの送迎を担ってくれるため、翌日お返しすることをお約束し、部署と名前を告げ、お借りしました。翌朝、別の運転手さんに事情を話し、お礼状とともに無事、返済。)
ドトールでケーキセットを注文し、パン屋さんで買い物したら半分くらいしか残らなかったので、予定通りトマトジュースと豆乳を数本のみ買って帰りました。
それにしても、お給料日前で3000円しか持っていない人から2000円借りるなんで、ひどい奴だ。
でもおかげ様でとても充実した休日を過ごせました。
北海道旭岳周辺は、娯楽はおろか、コンビニすら徒歩圏内にはないため、うっかりお金を使ってしまうということがありませんでした。
休日、街に出掛ける際も、予算を決めて、それ以上現金を持たないようにすれば、それほど散財することもないでしょう。
周辺にあるのは、ただただ雄大な景色ときれいな夕陽、極寒の地でしか見られない美しい自然現象くらいです。
勤務時間は長かったけど、のんびりした職場の雰囲気と休日の楽しみがあったから乗り切ることができました。
北海道の中でもこの季節、この土地ならではの楽しみ方があり、一ヶ月とは思えないほどさまざまに楽しめました。
深夜残業が毎日3時間ほどあったので、基本時給は900円とかなり低めでしたが、トータルするとそれなりの金額になりました。
アイスバーの中の様子。暗いのでうまく撮れませんでした。
館内にももうひとつバーがあり、両方でいっぱいずつごちそうしてもらえました。
- 職種:フロント
- 時給:900円 (基本残:1125円、深夜残1350円)
- 勤務時間:一日平均11時間
- トータル収入:327,878円 (所得税のみ差し引いています。ここから保険料など各種差し引かれる可能性があります。)